皆さん、こんにちは。今日はイギリスの公営シェルターについて。
以前の記事『【持ちつ持たれつ】イギリスの動物病院と動物保護団体との関係』でチラッと触れたのですが、イギリスには日本の保健所のような飼えなくなったペットを引き取り・保護・譲渡をするといった公営動物愛護センターは存在しません。
ですが、、、
唯一『dog warden:ドッグワーデン』という『迷い犬・野良犬』専門の公営シェルターが存在します。
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イギリスの公営シェルター『Dog Warden』とは?

このシェルターは地方自治体によって管理されており、『迷い犬』『野良犬』のみ取り扱っています。この様な自治体はイギリスに381あり、自治体によっては地域の犬舎やチャリティー団体に業務委託している場合もあります。
民間人や動物病院から『迷い犬がいる』『野良犬がいる』という連絡を受けると職員が出動し犬を捕獲します。また、民間人や警察官が直接『迷い犬』『野良犬』を連れてくる場合もあります。
『Dog Warden』に捕獲された迷い犬・野良犬の数
2018年に行われたDogs Trustによる調査では381自治体のうち70%にあたる265自治体がアンケートに回答。
その調査結果によると、2017年4月1日から2018年3月31日までに自治体によって捕獲された犬の数は5万6043頭となり、前年度から15%減少したとのこと。ここ数年、イギリスの野良犬・迷い犬の数は減少傾向にあります。
捕獲された犬はどうなるの?
Dog Wardenによって捕獲された犬たちは1週間ほど自治体によって保護されます。最初の1週間は飼い主に犬の所有権があります。1週間待っても飼い主が現れなかった場合、譲渡されたり、民間のシェルターに移譲されたりします。
- 57%:飼い主の元へ帰還
- 24%:民間シェルターへ移譲
- 9%:譲渡
- 3%:安楽死
- 2%:その他(自治体のShelterにて保護期間中、通報者によって保護されているなど)
- 5%:不明
自治体による犬の安楽死は少なく、年々減少傾向にありますがゼロではありません。大半が場合が獣医療的な理由と行動的な理由です。
Dogs Trustの調査に協力した265の自治体の報告によると、2017年4月1日から2018年3月31日の間に1017頭の犬が自治体により安楽死されました。そして、その内訳は以下の通り、
- 獣医療的理由:261頭
- 行動的理由:412頭
- 1991年危険犬種法による法律的理由:82頭
- 飼い主・保護先が見つからなかったため:25頭
- 無回答:237頭
この報告を元に、Dogs Trustはイギリス全体で1462頭の犬が自治体によって安楽死されたのではと予想しています。
飼い犬の返還料金は?
自分の飼い犬が迷子になりDog Wardenによって捕獲され保護された場合、引き取りの際諸費用が発生します。
- 捕獲当日に飼い主の元へ戻った場合:£50
- 捕獲当日に飼い主の元へ戻れなかった場合:£100 (マイクロチップの情報が最新・正確な場合£50)+£15/日
- 獣医師による治療が必要だった場合:治療費
- 7日以内に名乗り出なかった場合、飼い主は犬の所有権を失う
となっています。
『Dog Warden』の見つけ方
『Dog Warden』は自治体の管轄なので、まずはどの自治体が担当なのか確認することから始めます。
イギリス政府のホームページから郵便番号を入力し、担当の自治体を検索することが可能です。
そして、通常自治体のホームページに『迷い犬・野良犬(Stray dogs)』のセクションがあり、そこをクリックすると電話番号など連絡先が出てきます。
迷い犬・野良犬を見つけてどうしたらいいのか分からない時、またDog Wardenの連絡先がイマイチ分からない時は、近所の動物病院に連絡したり、足を運べば大丈夫です。病院のスタッフが色々アドバイス・お世話してくれます。
また、万が一自分の飼い犬が迷子になってしまった場合は、近所の動物病院だけではなく、その地域のDog Wardenにも連絡しましょう。
そして、マイクロチップの情報は常に最新のものにしておくことも大切なので、忘れないように!
参考資料:Stray Dogs Survey Report 2017 – 2018
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