ここ数日、イギリスに突然夏が到来しました。先週まで春秋のような気候だったのが嘘のよう。。。暑い日が続いています。
ただ、イギリスの夏は嵐のようにやってきて嵐のように去っていきます。このいつまで続くかわからない夏の到来を無駄にするものか!と皆んな真夏のファッションで日光浴や海水浴、ピクニックやバーベキューを楽しんでいます。
さて、暑い日が到来すると問題になるのが熱中症。毎年夏の時期になると熱中症のケースが少なくとも数件起こります。熱中症は飼い主さんが注意することで防ぐことができる症状です。ですが、ほんのちょっとの油断と判断ミスで最悪の場合死に至ってしまう恐ろしい症状です。
イギリスで特に問題視されているのが「車内に犬を放置し、結果犬が亡くなってしまう」というケース。
RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)によると、「車内で苦しんでいる犬を見つけた」という通報が去年一年間で8779件あったそうです。
毎年この時期になるとRSPCAが主体となって犬の車内放置の危険性・車内に放置され苦しんでいる動物を見つけた時の対処法を啓蒙する「Dogs die in hot cars (暑い車内で犬は死にます)キャンペーン」が行われます。
CONTENTS
Dogs Die In Hot Cars キャンペーン
女性:「犬(車に残しておいて)大丈夫かな?」
男性:「ほんのちょっとだけだから(大丈夫だよ)」
犬:「。。。」
換気のため窓を少し開けてある車に「ほんの少しの間」だけ取り残された犬。。。
「ほんの少し。。。は長すぎます。」
バックミラー越しに映る犬は。。。涙
「暑い車内で犬は死にます」
「もし暑い車内で苦しんでいる犬を見つけたら999(警察)へ電話を」
Dogs die in hot cars – An infographic created by the RSPCA
犬は人間よりも暑さに敏感?
犬は私たち人間よりも暑さに敏感です。犬は肉球にしか汗腺がありません。つまり、私たち人間のように大量に汗をかいて体温調整をすることができないのです。犬の体温調整は主にパンティングと呼ばれる舌を出してハァハァと激しく呼吸することで行われますが、パンティングでの温度調整はあまり効率が良くありません。熱中症などで異常に高くなってしまった体温をパンティングだけで下げるのはほぼ不可能。まずは熱中症にならない注意を、そして熱中症が疑われた場合は迅速な対応を取ることが大切です。
熱中症の予防対策
- 遮光カーテンや植物などを使用して日陰を作る
- 遮光性・通気性の良い場所にケージやベッドを設置する
- アイスジェルマットやクールジェルマットなど、体温を下げるためのアイテムを活用する
- 蒸し暑い室内でのお留守番はさせない
- 散歩は早朝や夕方にする
- 陽の当たるアスファルトを歩くことをできる限り避ける
- 飲み水は絶対に切らさない
- 外出の際は必要であれば犬の体を濡らしたりできるよう、余分な量の水を携帯する
- 外出の際、霧吹きとうちわを携帯する(* 霧吹きで体の表面を濡らし、うちわで扇いであげると気化熱によって体温を効率的に下げることができます)
- 車内移動の際はサンシェードで日陰を作る、 保冷マットを敷く、凍らせた保冷剤や水を入れて凍らせたペットボトルを入れておく、こまめに休憩をして犬の状態を確認する
- たとえわずかな時間でも車内放置は絶対にしない
熱中症の症状
- 激しいパンティング・荒い呼吸
- 大量のよだれ
- 舌や歯茎が充血して赤くなる
- ぐったりしている
- フラフラしている
- 意識混濁
- 脈拍・心拍数の増加
- 嘔吐
- 下痢
- 痙攣
熱中症の応急処置
- 日陰・涼しい場所へ犬を移動する
- 全身に水をかける(ショックを起こさせないため、冷たすぎる水は避けること)
- 濡れタオルを被せる
- 濡れた体を風に当てる(扇風機やうちわを使用したり、風当たりの良い場所に移動する)
- 水を少しずつ飲ませる(冷たすぎる水は避ける)
- 応急処置が済んだら、獣医に連絡して指示を仰ぎ、病院へ移動する
車内放置されている犬を見つけた時の対処法(イギリスの場合)
犬の状態を確認;熱中症の症状が出ているのか確認
熱中症の症状が出ていない場合
- 車内放置時間を把握するために時間をチェックする
- 車のナンバーを記録する。飼い主が短時間で戻ってきて大事に至らなかった場合でも、犬が危険な環境に置かれていたと思った場合、警察に通報し車のナンバーを伝える
- 可能であれば場内・店内アナウンスをしてもらい飼い主を探す
- 飼い主が戻ってくるまで犬の状態を見守る。どうしてもその場を離れなければならない場合、他の人に犬を見守ってもらうようお願いする
- もしも犬が熱中症の症状を見せはじめた場合、999(警察)へ連絡し警察の到着を待つ
軽度の熱中症の症状がある場合
重度の熱中症の症状があり一刻を争う場合
「今すぐ窓を壊して救出しなければ!」と誰もが思うと思います。ただ、一般人が見知らぬ人の車の窓ガラスを許可なく壊すという行為は、器物損害罪になってしまう可能性があるので、注意が必要です。警察の到着を待つことができる場合は、警察を待ってください。ただ、そんな余裕がない場合は以下の手順を
- まずは警察へ連絡 (999)
- 「犬が車内でぐったりしている、意識がない」など犬の状態を説明し、 「今すぐ車の窓を壊して救出しなければ命に危険が及んでいるので、直ちに窓を壊す必要がある」という旨を伝える
- 犬の命が危険な状態であるという証拠として、そして窓ガラスを壊すという行動が正当であるという証拠として一部始終をビデオ録画する
- 周りにいる人に証人になってもらうようお願いする
- 窓ガラスを壊し犬を救出し、応急処置をする
暑さに弱いのは犬だけではありません
さて、今日は犬の話をしましたが、ウサギやモルモットなどの小動物も暑さに相当弱いので要注意です。猫は涼しい場所を探して移動する達人ですので、熱中症発症の機会は犬やウサギなどに比べるとかなり少ないです。ですが、何らかの理由で風通しが悪く暑い場所に閉じ込められた場合、車内移動をしなければならない場合、キャリーケースで移動しなければならない場合などには熱中症を起こすことがあるので十分に注意してください。
しっかりと熱中症対策をして夏を満喫しましょう!
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